職人の手仕事で贅沢な仕上がりへ
モルタル外壁は一軒ごとに手仕事で造られる伝統的な外壁です。
鋳物や陶器のように継ぎ目のない一体成型で、唯一無二なデザインは、家への愛着も一層高めてくれるでしょう。
その中でも「左官仕上げ」はモルタル外壁の華。
職人の手で無限の表情は「ゆらぎ」となり、癒しや脳の活性化など、心地よい暮らしを間接的に応援します。
モルタル外壁の施工には、経験と技能と知識が必要です。
職人の技能や経験がどのくらい必要かは、仕上げ方によって大きく異なります。
現在のモルタル外壁の仕上げは「吹き付け塗装」が主流であり、塗装による仕上げは各塗料メーカーの研修制度や認定制度があるため、職人による差は少ないでしょう。
一方、塗装でなく技巧を駆使して仕上げる「左官仕上げ」では、職人の技能と経験がものを言います。職人それぞれに得意とする技法やデザインがありますから、こだわりの家づくりには、設計者と請負工事店だけでなく職人さんの意見も聞いてみるといいでしょう。
モルタル外壁は白を基調とするものが多くを占めていましたが、昨今では多種多彩な質感,色柄が選ばれています。
白という色は、無垢をあらわしたり、晴れをあらわしたり、古事記にも記述がある、日本人にとっては特別な色のようです。
そして外壁の仕上げにも、しっくい塗りやリシン調かき落としなど、国産資源の石灰石を原料に、白系の壁仕上げが長く使われてきました。
※石灰石は、2億年以上前のサンゴなどが堆積したもので、日本にとって数少ない自給可能な資源のひとつです。
白系以外の色を選ぶ際は、その地域の自然や街並みに多い色調「エリアカラー」をお薦めします。
色の調和は街並みの調和になり、調和のとれた街並みや建物は、その価値を高めてくれるでしょう。
濃い色は ”紫外線に強く長持ちする”といわれる塗装でさえ色褪せ(=紫外線などによる色変わり)しやすいので、色褪せしても気にならない使い方か、短いサイクルで塗装し直すことを考えて選びましょう。
また外壁表面が結露することにより、朝晩に色ムラ(=色がまばらに違う)が生じることもあります。
濃い目の色で塗装する際には、アクセント使いにするなど、設計者とよく相談することをお奨めします。
外壁の仕上げは時代とともに進化を続け、見た目のみならず機能性を高める素材や工法が誕生しています。
防水効果の高い塗装や汚れがつきにくい素材・形状,ひび割れしない厚塗り弾性の塗装など、住宅環境やニーズに合わせたさまざまな仕上げがあります。
デザインの面でも スタイリッシュな洋風仕上げから重厚感溢れるこだわりの外壁まで、豊富なバリエーションの中から住まい手1人1人の嗜好に合わせて自由にお選びいただけます。
全国各地のテーマパーク内にある無数の西洋建築や石積みの柱などのデザインは、「モルタル造形」と呼ばれる技法で造られています。
一見するとレンガや自然石に見える建造物も、実はモルタルを使って美術造形し、塗装により経年古風なエイジングを再現しているのです。
最近では飲食店の内装や一般住宅の外装にも用いられる機会が増え、身近な存在になってきました。