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阪神・淡路大震災で多数のモルタル住宅が被害にあったことから、「モルタルは地震に弱い」との噂を耳にしたことがあるかもしれませんが、それは誤りです。
モルタル外壁は地震の際、
「① 建物を壊れにくくする」「② 建物を火災から守る」
という2つの働きをします。
① 建物を壊れにくくする
固まると石のように堅くなるモルタル材で外壁を塗り固めることは、家の周囲を一枚岩にするようなものです。地震のとき、家の柱や壁は地面が揺れても家が傾かないように抵抗しますが、モルタル外壁も家が傾かないように抵抗します。
そのため家の傾きは小さくなり、倒壊する危険性を減らしているのです。
② 建物を火災から守る
モルタルはコンクリートや石と同じく不燃性であり、隣家からの燃え移りや自宅の出火が燃え拡がることを妨げ、避難・消火の時間を稼ぎます。
震災で倒壊した住宅は、何らかの理由で施工が不十分であったり、耐震基準が今よりも低く見積もられていたこと,個々の経験と勘に委ねられ、現在のように適切な施工技術の共通化が普及していなかったなどの理由により、地震で倒壊してしまうケースが多く見受けられました。
現代では正しい設計と施工を行うことで、耐震・耐火・耐久性を兼ね備えた丈夫な家の建築を実現しています。
モルタル外壁は セメントに砂と水を混ぜ合わせて金網に塗りつけて固めたもので、コンクリートと同様燃えることはありません。
そのため万一火災になっても有害ガスを発生せず、隣家との燃え拡がりを遅らせて避難や消火に必要な時間を稼いでくれます。
そもそもモルタル外壁は、町の防火が目的で日本全国につくられるようになったのです。
施工の際には、火災時にモルタルが剥がれ落ちることのないよう、正しい材料の選択と設計を行う必要があります。
265年続いた江戸時代、火元から15町(約1636m)以上焼けたような大きな火事が「96回」あったといいます。つまり3年に1度は大火があったというのです。小さな火事ともなると、7日に1回の頻度で起こったと記録されています。
なぜこんなにも火災が多かったのかというと、1)江戸に人口が集中してており木造住宅が密集していたことや、2)当時は電気やガスがなく代わりに火を使っていたため火事が起こりやすい状況であったこと,3)冬場の乾燥した気候と強風が火事を拡大させたなど、複数の理由があるようです。
日本の建物は壁土以外は燃え易い材料がほとんどで、いったん火事になると瞬く間に燃え上がり、周囲の家にも延焼していきました。
この傾向は明治時代になっても変わらず、明治初期20年間の火災統計では、焼失戸数が数千以上の大火は15回あったと記録に残っています。
そんな中、明治時代に入ってきた西洋建築のモルタルをはじめとするセメント系材料の不燃性に注目が集まり、大正から昭和初期にかけて、徐々に木造住宅へのモルタル使用が普及していったという歴史があります。
台風や竜巻で最も被害が多いのは、飛来物によるものです。
瓦や木の枝などが飛んできても、壁を貫通させない工夫が命を守ることにつながります。
モルタル外壁はそのような飛来物に対して「防御する効果が高い」と実験で確認されています。
さらにモルタルを塗る厚さを増やしたり丈夫な下地を選んだりすることで、より頑丈な設計にすることも可能です。
竜巻警報が出た場合、政府や気象庁は 頑丈な建物内に避難するよう報じています。
私たちの家がモルタル外壁によって守られるとしたら、こんなに心強いことはありませんね。